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 客などがあってにぎやかに食事をしている間などに、私はもう眠くなりかけて、母の胸がそろそろ恋しくなり出しているところへ「お父ちゃんとお母ちゃんとどっちが好き?」などと皆の前で父に訊かれる位、子供心にも当惑することはなかった。そんなときに父は大抵酒気を帯びていた。そしてふだんとは異(ちが)って、しつっこく、私がいかにもてれ臭いような顔をするのを面白がって、いつまでも問いつめているようなことがあった。私は最初のうちは何んとかかとか云い逃(のが)れをしているが、そのうちに返事に窮してくると、もう溜(た)まらなくなったように母の腕の中にとびこんで、その胸に私の顔を隠した。 「それはお母ちゃんの方が好きね?」とその母にまでそう揶揄(からか)うようにいわれると、私は急に怒ったようにはげしく首を横にふるのだった。しかしその顔を一そう強く母の何処まで広いか分からないような胸に押しつけながら……  そして私はしばらくそうやっている裡に、いつかすやすやと寝入ってしまうのだった。